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噂のあの人に教わるプレイリストには、京都を楽しむヒントが詰まっているらしい

「ポmagazine」編集部
「ポmagazine」編集部

噂の広まり

井戸端会議

京都の楽しみ方は人それぞれ。噂で聞いたニッチなお店に行く、創業何百年の老舗にお邪魔する、あてもなく碁盤の目を歩いてみる……。そんなとき、そこにぴったりの音楽があったら最高じゃないか。

ありきたりな京都の楽しみ方では物足りない、そんなポmagazine読者必見。京都で噂の人びとにとっておきの「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてもらった。協力してくれたのは、名物店主やアーティスト、街のローカルプレイヤーなどの気になる面々。京都を訪れたときに聴くもよし、離れた場所で空想京都旅行に浸るもよし。

ふと耳にした音楽がある情景と結びついたり、たまたま聴いていた曲が目の前の景色をよりドラマチックなものにしてくれたり。場所や空間を越えてさまざまな場所でつながる音楽から、次の京都の楽しみ方を考えてみてはいかがだろうか。

京都で聴きたいプレイリスト

今回プレイリスト作成にご協力いただいた方々
※順不同

#01 Kie Katagiさん(jizue)
#02 堀部篤史さん(誠光社)
#03 毛利 桂さん(PARALLAX RECORDS)
#04 川良謙太さん(VOU/棒)
#05 ANTENNA編集部
#06 松本花音さん(ロームシアター京都)
#07 山内美沙さん(RUB A DUB)
#08 和田康彦さん(まほろば)
#09 藤原和也さん(藤原食品)
#10 東 岳志さん(山食音)

プレイリストは記事内で試聴可能(一部楽曲は未対応)。ぜひ記事を読むBGMとして楽しんでほしい。

#01
Kie Katagiさん(jizue)


京都出身。4人組インストゥルメンタルバンド「jizue」のピアニスト、ソロアーティストとして活躍中。6/25に「jizue」として新曲『奏命 feat. 荒谷翔大(yonawo)』を配信リリース。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)timmit /  NABOWA
(2)口うつしロマンス / 中村佳穂
(3)つづくいのち / JYOCHO
(4)holiday / jizue
(5)B.G.M. / キツネの嫁入り
(6)maybe / Daichi Yamamoto
(7)SOMEWHERE NOT HERE / KYOTO JAZZ MASSIVE
(8)No Scrubs / 竹内アンナ
(9)good friends feat.no-boo form tick / 瘋癲 FU-TEN
(10)Tai Rei Tei Rio / 高木正勝

※ (2)のみ公式リンクなし。

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

京都生まれ京都育ち、現在も京都在住の私なのですが、年を重ねるほどに京都のことが好きになっています。
少し歩くと有名な寺社仏閣があり(世界遺産が17箇所も!)歴史的な文化を街中いたるところで感じられる。同時に学生の街ということで若者のエネルギーにも溢れていて、伝統と新しい文化のバランスが京都の魅力のひとつだと思います。
今回はそんな京都出身のアーティストから選ばせていただきました。(ちゃっかり私たち「jizue」の曲も入れさせていただいています。)親交のあるアーティストをはじめ、10代の頃、足繁く聴きに通った思い出の曲も入れています。京都には京都メトロ、KYOTO MUSE、磔磔、nano、MOJO、RAG、そして今は無くなってしまいましたがウーピーズやVOX hall、他にもたくさんのライブハウスやクラブがあり、それぞれに独自のカラーや音楽シーンが築かれているということで、そのあたりのバランスも意識して選んでみました。(6)のDaichi Yamamotoくんの『maybe』のリリック「鴨川を闊歩して独り言」のように、鴨川沿いや京都の街を歩きながら聴いていただけたら嬉しいです。

#02
堀部篤史さん(誠光社)


河原町丸太町の書店「誠光社」店主。店舗ではCDやレコードも扱い、音楽好きとしても知られる。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)Take Me to the River / Talking Heads
(2)Sunny Afternoon / Benny Sings
(3)Sunday Afternoon / Blossom Dearie
(4)Walk On / Neil Young
(5)Walk Between Raindrops / Mel Tormé
(6)All Day Music / War
(7)The Moon is Mine / Fairground Attraction
(8)By This River / Brian Eno

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

「京都で聴きたい音楽」とか「京都で読みたい本」とかいうお題をたまにいただきますけど、問いの立てかた自体が間違っている気がします。まず主語がよくわからないし、京都在住の人間にとって「京都で」というのはフィルタリングにならない。旅行者にとっても京都の捉え方、印象なんて千差万別なのに、それらしい音楽を紐付けるなんて客観性にかけますよね……、と京都人マナーを前置きしたうえで(笑)、だいたいのシチュエーションを設定したプレイリストを。
まず、宿泊先を出て鴨川を目指しながら(1)を。晴れた川沿いを北上するイメージのウォーキングテンポの(2)、(3)をBGMに荒神橋あたりの土手でちょっとした食事とお酒で一服したあと、また歩きだして(4)。そのうち小雨なんかに見舞われ、木陰に雨宿りしつつ(5)、晴れ間から見えるサンセットにしんみりしながらの(6)。夜空に浮かぶ月なんか横目に(7)を聴き、川沿いをホテルに向かって帰っていく(8)という流れです。

誠光社
京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
営業時間:10:00〜20:00
https://www.seikosha-books.com/

#03
毛利 桂さん(PARALLAX RECORDS)


河原町三条のレコードショップ「PARALLAX RECORDS(パララックス・レコード)」の店主。ショップでは電子音楽や実験音楽、サウンドアートなど幅広いジャンルを扱う。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)Ryoanj / John Cage
(2)Snowy Morning / 柳沢英輔
(3)New Taiza Tunnel, Tango Kyôto, Am 13. Oktober 1999 / 鈴木昭男
(4)Performance 17.10.’97 / 鈴木昭男
(5)Frog Night / FELIX HESS
(6) Asdmt / 空間現代
(7)C₁::check / 池田亮司

※ 上記リンクよりご視聴またはアーティスト情報、購入情報をご覧ください。

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

(1)フルクサスのメンバーで、東洋思想を愛し、沈黙を考察し、内なる響きに耳を傾けた、作曲・実験音楽家のJohn Cageが、龍安寺の枯山水に感銘を受けて作曲したものです。石庭に置かれた15個の石や砂の流れ、禅の精神、侘び寂びなどを、思わず背筋がピーンとなるような緊張感あるサウンドで見事に表現しています。実際に『Ryoanji』を聴きながら各々の捉え方で枯山水を楽しむのもおすすめです!龍安寺は私も大好きな禅寺の中のひとつですが、京都にはたくさんの禅寺があるので禅寺めぐりをされてもいいかもしれませんね。
(2)音文化研究者、フィールドレコーディストの柳沢英輔の作品。底なし沼といわれた京都の深泥池(みどろがいけ、みぞろがいけ)の周りの音をフィールドレコーディングしたものです。鳥の声や風の音、池の音などの音が生々しく聴こえてきます。深泥池周辺の音を事前学習してから現地へ行くのもおすすめです!これは私のエピソードですが、高校3年生の時に深泥池近所の絵画教室に通っておりまして。ある夏の夜、授業を抜け出して深泥池に肝試しに行ったことがありました。が、真っ暗な深泥池にものの3秒で退散。我こそは!と、根性のある方は夜の深泥池のリアルなフィールドサウンドを楽しむのもいいかもしれませんね!?く~る~きっとくる~♪
(3)京都のサウンド・アーティストである鈴木昭男の1989年の作品で、京都府京丹後市の新間人(しんたいざ)トンネルの音を録音した作品です。トンネル内の残響音や反響音がスペーシーな感じで、ヘッドホンで聴くとよりリアリティが増しますよ。新間人トンネルを訪れてナチュラルリバーブを全身で体感するのもおすすめです!
(4)同じく 鈴木昭男の1997年の作品。自作楽器や京都府京丹後市の海岸で収集した海の音、洞窟の水滴の音や昆虫の鳴き声などで構成された作品です。目を閉じて聴いていると、まるで自分もそこにいるかのような、とても涼しげな気分になります。今年の夏は京丹後で神秘的なサウンドスケープを体感し涼むのもおすすめです!ちなみに、私は毎年京丹後の海で泳いで夏を満喫しています。
(5)こちらも京丹後市!オランダのサウンド・アーティストであるFelix Hessの作品です。世界中のカエルの鳴き声を収録し、1980年代初頭から2000年代初頭にかけ、カセットテープやレコード、CD-R などでリリースされた、『Frogs』シリーズのひとつ。本作は京丹後市の水田で録音した日本在来の3種(アマガエル、トノサマガエル、シュレーゲルアオガエル)の鳴き声を収録したもの。目を閉じれば現場にいるような臨場感あるサウンドです。梅雨の時期をねらって京丹後のカエルに会いにいくのもよし、新たな自分だけのお気に入りのゲコゲコスポットを見つけるのもよし!です。
(6) 京都旅の最後は、夕暮れの鴨川でこの曲を聴きながら思い出に黄昏る!のもおすすめです。淡く優しい音色のループが夕暮れ時の鴨川にぴったりですが、後半の軽快さで思わずスキップして家に帰りたくなってくる感じもまたナイスです!!「空間現代」は、野口(ギター・ボーカル)、古谷野(ベース)、山田(ドラム)の3人によるスリーピースバンド。2016年9月に活動の場を東京から京都へ移し、自分たちの制作および公演の拠点として、ライブハウス「外」を左京区の錦林車庫前にオープン。本作は自ら立ち上げたレーベル「Soto」からの初レコード・リリース作品です。「外」のスケジュールをチェックすれば、彼らの生ライブも観れますよ!
「外」HP:http://soto-kyoto.jp/kukangendai/
(7)パフォーマンス集団「ダムタイプ」の活動に作曲家として関わりながら、パリと京都を拠点に活動するアーティスト・池田亮司の1998年の作品。一曲目から脳を刺激するようなインパクト大のサウンドがかっこいいんです!レアですが、タイミングが次第では、たまに京都でDJもしているという池田さんに会いに行けるかも⁈です。スケジュールが合えばラッキーですね。

PARALLAX RECORDS
京都市中京区桜之町407-1 新京極詩の小路ビル2F
※来店の際は下記サイトにて要確認
https://www.parallaxrecords.jp/

#04
川良謙太さん(VOU/棒)


四条河原町の「VOU/棒」のオーナー。大学卒業後、2015年にオープンした「VOU」は京都のカルチャーシーンを語る上で欠かせない存在。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)プカリ/ ドクロズ
(2)ほころび / audio safari
(3)The Model / Seu jorge, Almaz
(4)Fish&Tell / Kirihito
(5)小さな願い / バート・バカラック
(6)ウォークマンのテーマ / 暗黒大陸じゃがたら
(7) L.L.M.S.D / AJICO
(8)Moon Lovers / Slapp Happy
(9)Puto luri / Nidia Minaj
(10)Drive / DEKISHI

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

(1)色んなタイプの京都産サウンドがあると思うけど、この曲は、京都の地だからこそ生まれたメロディーや歌詞の空気感があると思う。
(2)たしか京都のバンド。電子音楽とボーカルのメロディーとバンドサウンドが融合すると、京都を感じる。
(3)いつかの木屋町のバーでこの曲が流れてきて、ドープで深くて、抜け出せなくなる感覚に陥った。ひどい酔い方をしていた。クラフトワークのカバーでここまで煙たく重厚にするところがカッコいい。
(4)いつか京都のライブハウスで見た。たしかその時はBetalandがVJをしていて、そのオーディオ&ヴィジュアルに頭をもっていかれた記憶がある。京都で本屋をやっていた店主さんが好きだったのも覚えている。
(5)ジム・オルークがバート・バカラックのトリビュートアルバムで、この曲をヨシミさん(※)とカバーしていて、その曲がSpotifyに無かったので原曲を。昔、ヨシミさんとライブハウスで少しだけ話せたの嬉しかった。
(6)じゃがたらというか、江戸アケミと京都には深い関係がある気がしていて、なぜかじゃがたらを聞くと京都を思い起こす。江戸アケミの声、本当にカッコいい。
(7)UAが好きで、AJICOが久しぶりに楽曲を出したのが嬉しかったので。京都市というよりかは京都府っぽいなと思う。
(8)京都のレコード屋の店主さんにオススメしてもらって好きになった曲。雨の日の京都にあうと思う。
(9)京都でバンドをしている友達から、あるアーティストを教えてもらって、そこから関連してたどり着いた曲。こうして誰かに教えてもらって色んな新しい音楽に出合っていったなと思う。バウンス気味なサウンドで、京都の湿気感はこういう音楽で発散されてると思う。
(10)はじめてライブハウスで見た時は、自分のヒップホップ/ラップ観がひっくり返るような体験だった。京都の夜道で爆走したくなる曲。

※ 日本が世界に誇る伝説のノイズ・エクスペリメンタルバンド「Boredoms(ボアダムス)」をはじめ「OOIOO」「SAICOBAB」などの活動で、海外でも高い評価を受けている女性アーティスト・YoshimiO(ヨシミ)。

VOU/棒
京都市下京区筋屋町137
営業時間:13:00〜19:00
定休日:水曜、木曜
http://voukyoto.com/

#05
ANTENNA編集部


音楽やアート、映画、街のことなど、京都のあらゆるカルチャーを発信するWEBマガジン「ANTENNA 」。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)風を追いかけて / WANG GUNG BAND
(2)Pap Love!  / 猫戦
(3)カレーライスは風に運ばれて / いちやなぎ
(4)what light / スーパーノア
(5)SUPER極楽グルーヴのテーマ / 踊る!ディスコ室町
(6)SAD!!! / Great Youth 
(7)深夜の公園 / 松本敏将&ハイアーセルフ

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

(1)京都のシンガーソングライター杉本周太が昨年結成した「WANG GUNG BAND」の一曲。優しくメロディックな杉本の歌声と、フォーキーで筒抜けのいいサウンドは情緒ある京都の風景にマッチすること請け合い。祇園を散歩するときや、鴨川で夕涼みするときなどにも相性抜群だ。
(2)京都の大学生の今に耳を傾けるなら、立命館大学の「Rock Commune」から誕生した男女混合バンド「猫戦」。懐かしい8cmシングルでCDをリリース。楽曲にも見た目にも90年代テイストを醸し出しつつ、“Pap”が韓国語で”ごはん”を意味していたりと、歌詞やサウンドの着こなしは見事に今風で超ポップ。
(3)京都のシンガーソングライター・いちやなぎによる、先日バンドで新録されたこちらをどうぞ。彼の濃厚な声は京都の景観にマッチします。また、不穏な冒頭から徐々に視界が広がっていくマンドリンやトランペットの音色に感じる湿り気ったら。うだるように暑い盆地のサマー・ソングとしてもぴったり。
(4)せわしなく弾むリズムと、包み込まれるようなボーカルの対比は、行き交う人で賑わう大通りと、一本奥まれば急に閑静になる京都の街中を想起させる。そして美しいギターサウンドは、キラキラ光る鴨川の水面のよう。京都のライブハウスでも、いくつもの胸高鳴る景色をつくってきた、宝物のような一曲です。
(5)バンド名は京都の通り名「室町通」から。6人組ファンクバンド「踊る!ディスコ室町」のご機嫌なアッパーチューン。彼らの楽曲を聴いていると、ミラーボールが光るライブハウスやクラブの夜を思い出します。そんな日常を思い浮かべながら、今日も彼らの曲を聴いて踊りたい。
(6)ストーンズ太郎のリミックスも話題の4人組!「THE 1975」のような近未来的なリフにほんのり熱情が混じり、クールだけど拳を握りたくもなる。この夏METROのDJパーティー「SUNNY SUNDAY SMILE」にも出演予定で、京都のクラブシーンとライブハウスをごちゃ混ぜにすること間違いなし!
(7)「tobaccojuice」でギター・ボーカルを務める松本敏将のソロプロジェクト。奇妙なMVは異界へ誘ってくれます。この曲を聴いて、歌詞のように 「君のところへゆきたい」、そんな気持ちになったら、楽曲後半の勢いさながら京都へ。其処で流れるゆっくりとした時間、存分に好きな誰かのことを考えてください。

京都を拠点にインディペンデントなミュージシャンを取り上げてきたウェブメディア「ANTENNA」の編集部員が選んだ「京都で聞きたい」7曲。大半が京都で活動しているミュージシャンの楽曲なので、リアルな京都の情景と多面性を楽曲から感じられるはずです。
ANTENNA

#06
松本花音さん(ロームシアター京都)


京都の劇場文化を牽引する「ロームシアター京都」の広報・事業企画担当。舞台芸術を通した京都の音楽シーンに精通する。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)KYOTO / JUDY AND MARY
(2)カサブランカ・ダンディ / 沢田研二
(3)流星より愛をこめて(流星メドレーVer.) -Rearranged By Rei Harakami / イルリメ
(4)Sino Dub / ROVO
(5)Mure / 空間現代
(6)京都通り名の歌
(7)競馬ファンファーレ G1(京都阪神中京)
(8)Paradise Has No Border(Live Ver. ゲスト:さかなクン) / 東京スカパラダイスオーケストラ
(9)雅楽 秋庭歌一具 / 武満徹
(10)桃色吐息 / 高橋真梨子

※ (6)(8)(9)のみ上記リンクよりご視聴ください。
(4)は松本さんおすすめのライブバージョンでも。(3)は公式リンクなし。

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

(1)私は2015年に関東から引っ越してきたのだが、それまで京都の曲というとまず頭に浮かぶのがこの曲だった。実際、この曲の雰囲気は鴨川のそばで寝っ転がったり満開の桜を眺めている時の感覚と似ているなあと、京都に住んでいる今でも思う。
(2)京都、それも左京区の大スターといえば、兎にも角にもジュリーを忘れてはならない。かっこよすぎ。
(3)京都の音楽家として語られつづけるレイ・ハラカミ氏が手がけた曲のなかでも、私は彼がリミックスしたこの作品が好き。これも夜の鴨川でチャリをこぎつつ聴くのにいい。
(4)京都の音楽家で、もうおひとり忘れてはならないのが山本精一氏。ロームシアター京都で行われた「KYOTO EXPERIMENT」のプログラムでのアンダーグラウンドミュージシャンたちとの奇跡的なセッションも記憶に新しいけれど、ここでは山本さんがメンバーのおひとりであり、冴えまくるギターとダンスミュージックの融合がたまらない「ROVO」の作品たちから、個人的に一番好きなこの曲を。
(5)今、京都にきたら必ず聴いて / 目撃してほしいスリーピースバンド「空間現代」。彼らは錦林車庫エリアでライブハウス「外」も運営中。凡庸な言葉で表現するよりも、聴いて、体験すべき表現者であり、同世代に彼らがいること自体が財産。この曲だけでなく、60分超えの長編楽曲『オルガン』『象』などライブでしか味わえない名作も多いので、スケジュールをチェックすべし。
(6)職場で、京都で働く者として最初に覚えるべき事項として市役所から来ていた当時の上司にこの歌を教えられた。日々、街をウロウロしているとき脳内再生している。
(7)京都に住んで良かったことのひとつ、電車で行ける距離にG1レースを開催する競馬場がふたつもあること。WINSは祇園の歌舞練場の横にある。改修中の京都競馬場、早く再開しないかな〜。
(8)我が職場、ロームシアター京都がオープンしてすぐに開催された伝説のライブ。スペシャルゲスト回だったうえに、こうしてYouTubeにアップしてくれた!ので何回も見ている。ロームシアター京都は京都最大の収容人数を誇るホールなので、ジャンルを問わずミュージシャンがどんどん来る。ライブ遠征で京都に来るなんてのもオツなのでは。
(9)武満の雅楽というだけでやばいが、これもロームシアター京都で今年生演奏されたのを聴いて、宇宙的なまでに神々しく、それでいて自然の荘厳さも感じさせる音色と曲構成に衝撃をうけた曲。雅楽だけでなく、京都では能や日本舞踊など日常的にさまざまな伝統芸能(しかもその本流)に触れられる機会があるから、生で味わわないのは損!
(10)私のオハコ。京都の同世代〜over50な友人たちは、ほぼ四条大宮のスナック(たまに鴨川沿いか木屋町か祇園)で歌って騒いで仲良くなった人たちばかり。結局私が言いたいのは、「NOナイトライフ・NO京都生活」ということである。

#07
山内美沙さん(RUB A DUB)


木屋町で1986年にオープンしたレゲエバー「RUB A DUB(ラバダブ)」の店主。イベントオーガナイズや「DJ TropicThunder」としても活動している。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)Greeting / Half Pint
(2)Blackbirds Singing / The Paragons,Roslyn Sweat
(3)Jump Nyabinghi / Bob Marley&The Wailers
(4)Strawberry Girl / Youth of Roots
(5)Ska Strong / Green Green
(6)Romantic mood / Spice
(7)Sexy Body / Wayne Fire
(8)Don’t cry / SRIRAJAH ROCKERS feat.RASMEE
(9)ワダツミの木  / The Ska Flames,元ちとせ
(10)Banana Boat  / Harry Belafonte

※ (5)(8)のみ上記リンクよりご視聴ください。

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

(1) RUB A DUBでかけられない週末はないこちらのチューン。イントロがかかった瞬間に最高の夜を確信し、オーナーのパパニックも思わずマイクを握ってしまいます。
(2)仕事はじめにかけているオンスイッチ的な癒しの天国チューン。
(3)レジェンド・Bob Marleyによる軽快なチューンは、DJの序盤によく使います。
(4)横浜のバンド「Youth of roots」の甘酸っぱいメロディは最高。ぜひLiveを観てほしいバンドです!
(5)BUN BUN THE MCさん主催の「RAGGA CHANNEL」の出演やRUB A DUBの祝い事での出演などでお馴染みの関西の宝「Green Green」のパーティチューン。
(6)90年代のダンスホールを彷彿とさせるレゲエクイーン・Spice姉さんのパワフルかつタイトルどおりロマンティックな一曲。カップルが多い時に素敵な夜を願ってかけてます。
(7)DJ中、女の子がたくさん遊びに来てくれている時に元気に踊ってる姿を見たくてかけちゃいます。
(8)タイの上質なバンドである「SRIRAJAH ROCKERS」を知るきっかけになったこちら。デジタルとルーツレゲエがうまくマッチしています。RUB A DUBスタッフみんなが大好きなのですが、タイ語がわからないのでそれぞれ適当に鼻歌を歌っています。
(9)元ちとせさんのビックチューンを、90年代から活躍されているスカバンド「The Ska Flames」さんによる極上バージョンで。ゴージャスなホーンのイントロからゾクゾクします。
(10)RUB A DUBのラストチューンといえばこちら。世間一般でいうところの蛍の光です。常連さんは「デ〜オ!」がかかった瞬間に帰り支度を始めます。うっかりDJ中にかけてしまうと、みんな帰ってしまうので危ない一曲です。

RUB A DUB
京都市中京区石屋町115 辻田ビルB1F
営業時間:15:00〜21:00
※ 現在は変更の可能性ありのため、来店の際は要確認。
金曜、土曜、日曜のみ営業

#08
和田康彦さん(まほろば)


元田中の居酒屋「まほろば」の店主。CDや書籍が大量に積み上げられた店内には和田さん選曲のBGMが流れる。地元の方はもちろん音楽好き、ミュージシャンや文化人も集うという名店。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)REDEMPTION SONG / BOB MARLEY & THE WAILERS
(2)我が祈り / 南正人
(3)Woman / John Lennon
(4)どうして旅に出なかったんだ / 友部正人
(5)クリスマスはきらい / Magic Music

※ 上記リンクよりご視聴または購入情報をご覧ください。(2)(4)は公式リンクなし。

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

音楽はどんなジャンルでもすばらしい!!

まほろば
京都市左京区高野西開町15 ニシキマンション 1F
営業時間:18:30〜1:00 
※ 現在は変更の可能性ありのため、来店の際は要確認。
定休日:木曜

#09
藤原和也さん(藤原食品)


大正4年創業の納豆屋「藤原食品」の4代目。看板商品「鴨川納豆」をはじめとする全9種類の納豆を製造・販売する。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)フレア /  山本精一
(2)上海バンド / Daichi Yamamoto
(3)雨があがったら / バレーボウイズ
(4)塔婆 / Meitei
(5)Girls / 高木正勝
(6)Shipping Love Beat / Isayahh Wuddha
(7)Kyoto / Phoebe Bridgers
(8)けむをまこう / 本日休演
(9)break your lo-fi hiphop playlist Pt.2 / Phennel Koliander
(10)きみのみらいのための / 5lack

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

(1)浄土寺の「ホホホ座」で個展とライブがあったので始まるのを外で待っていたら、ギターをかついで雪駄でチャリに乗ったおじさんが来て、よく見たら山本さんだった。なんか京都っぽい。
(2)Daichiくんの曲には、ちょこちょこ京都の場所が出てくるが、この曲が一番情景が目に浮かぶ。行きつけの中華料理屋で気心の知れたツレと「初めてのくらげ辛子和え つつきながら青島流し込んで  内容の無い会話で Rolling  舌を回す」。うん、それ今一番したいやつ。
(3)京都のバンドでもあるし、ライブを観たいなぁとずっと思っていたが、この前吉田山の麓にある友達の珈琲屋さんで、たまたま隣に座ったメンバーのひとりから解散したことを聞かされた……。京都の狭さよ。
(4)そもそも「Meitei」自体が「日本の古い文化」を追及するプロジェクトみたいなので、京都っぽい曲は何曲かある。その中で『塔婆』はタイトル的にも千本通を連想する。「さらさ西陣」で珈琲を飲んで船岡山に登って、千本ゑんま堂で閻魔さんに会って、船岡温泉でひとっ風呂浴びて帰る。千本魔界ツアーへようこそ。
(5)高木さんは、自分と同じ1979年京都生まれ。高木さんの音楽と出会ったのは、ぶらぶらしていた20代半ば。当たり前だけど人間も自然の一部だし、脳や体をつたって生まれてくる音楽もまた自然の表現の一部なんだなぁと感じたのを覚えている。追えども追えども、未だ悠々と前を歩む彼の背中は見えず。
(6)イサヤさんのつくる曲は、人懐こいんだけど毒がある。まるで穏和な顔をしながらお茶漬けを出す京都の人みたいだ。42年生きていて、いまだそんな現場に出くわしたことはないが。
(7)昨年よく聴いていたアルバムの中の1曲。Spotifyでも4000万回以上再生している。京都が好きで「京都はいいとこだから一度はおいで」的な曲だとずっと勘違いしていたが全然違った。確かにミュージックビデオでは最初の方だけやっつけ的に京都が出てくるが、途中からは空を飛んだりゴジラを倒したりしている。京都へライブに来たらグッズの「骨Tシャツ」は絶対買っちゃうなぁ。
(8)このバンドを知ったのはラジオから流れてきたこの曲だった。斜に構えてて、ふざけてて、サイケデリックで、でもなんだか強い意志を感じる。それは自分のイメージする「百万遍の若者たち」そのものの気がした。
(9)ネットなどで彼のことを調べると、関西ビートメーカーコレクティブ「Table Beats」の長兄であり、Daichi YamamotoのバックDJも務めるビートメーカーと出てくる。最初うちのお客さんだった(今もだけど)彼のそんな素性は当然知らず、共通の知人にいろいろ聞いて徐々に仲良くなり、彼の作品を知った。彼の作る音は、野菜のように滋味深く、果実のように薫り高い。
(10)アルバム「WHALABOUT?」が2009年なので、もうかれこれ12年ほど好きだ。そのときから彼はラップやスケボーをして「適当」なんて言いながら自分のペースで、言葉でやり続けてきた。なんだかずっと背中を押してもらっている気がする。なので2年前のロームシアターでのライブ、イベントと被って行けなかったことを未だに前を通ると思い出す。ライブ見たいなぁ。

#10
東 岳志さん(山食音)

河原町今出川の「山食音」の店主。山のガイドをしたり、サウンドエンジニアとして映画や舞台の録音、音響を手がける。お店では定食を作っている。

Q.ご自身が思う「京都で聴きたいプレイリスト」を教えてください。

(1)House of Woodcock / Jonny Greenwood
(2)Constreaux No.2 / Dustin O’Halloran
(3)Dust i. cosmos / Daniel Pioro, Valgeir Sigurðsson
(4)Meridian / Marihiko Hara
(5)In Motion (Darkwood IV) / David Darling
(6)I Take Rest / Deuter
(7)Facing North: Long Shadows 2 / Meredith Monk, Robert Een
(8)Kangaru / Jóhann Jóhannsson
(9)Abrazo Mirando / Suso Saiz
(10)Journey – From xAbo: Father Boniecki / Hania Rani
(11)long time / Rei Harakami
(12)Circling / Nils Frahm
(13)Until the End of the World / Masahiro Sugaya
(14)Escape / H.Takahashi

Q.選曲の理由や曲にまつわるエピソード、おすすめポイントなどを教えてください。

京都は街と自然が近い。 音楽の時間の密度のことを考えている時、動いていないものを観察していると、じつは変化していることに気がつき、その緩やかな変化を実感したいと思った。 見始めた時を意識しつつ、いつまで続くか分からないその移ろいを感じるには、 凝視していては疲れる。定期的に自分のしている事と照らし合わせて比べるのが良いようだ。
久しぶりに訪れたら、その場と自分の変化に驚き、受け入れられるだろう。 プレイリストの個々の音楽からつながる人々を想像するのもおすすめだ。 ループ再生をオフにして聴いていただければ嬉しい。

山食音
京都市上京区梶井町448-13清和ビル2F-A
※定休日は下記サイトにて要確認
https://www.yamatomichi.com/stores/36/

 

多種多様な京都の最強のプレイリスト10種。協力いただいたみなさまには、この場を借りて、あらためてお礼を申し上げたい。

さて、今回は「京都で聴きたい」をテーマに、10名それぞれの解釈でプレイリストを作成してもらった。続々と曲が集まるなかで、あらためて浮かぶ「京都らしさってなんだ?」「京都を印象づけているものとは?」という問い。それは、プレイリストの多様さからもわかるように、まさに人それぞれ、千差万別。言葉にすると当たり前に聞こえるけれど、音楽を通すと、それぞれの「京都」がよりダイレクトに響いてくるような感覚がある。ぜひ実際に聴いて、10通りの京都との共鳴を感じてほしい。

 

企画編集(敬称略):光川貴浩、河井冬穂、早志祐美(合同会社バンクトゥ)
企画協力(敬称略):bud music, inc.、松本花音、石野亜童
写真提供(敬称略):Kie Katagi、堀部篤史、毛利 桂、川良謙太、ANTENNA、松本花音、山内美沙、藤原和也、東 岳志