0

【買い付け同行】古道具のプロいわく、素直な「好き!」こそ、目利きの最重要事項らしい

「ポmagazine」編集部
「ポmagazine」編集部

噂の広まり

殿堂入り

京都には魅力的な骨董市が多い。毎月21日開催の東寺「弘法市(弘法さん)」や25日開催の北野天満宮「天神市(天神さん)」が有名だが、ほかにも数多の個性的な市が立つ。

今回、そんな骨董市の醍醐味を掘り下げるべく、目利きのプロである古道具店の店主たちによる買い付けに密着。協力いただいたのは、器を中心に国内外の陶器や古道具を扱う「うつわと古物 幹」の下西幹さんと、独自の視点によるセレクトが注目を集める「ものや」の櫻井仁紀さん、吉田卓史さん。まったく違う個性をもつふたつのショップの店主たちとやってきたのは、彼らが普段の買い付けでも訪れるという「東寺がらくた市」。


ポテルからは徒歩20分ほどの東寺。弘法市やがらくた市は朝から賑わうため、早起きして訪れたい。

「がらくた市」は毎月第1日曜日に開催され、同じ東寺の「弘法さん」より規模は小さいものの、自分の目で掘り出し物を見つける楽しみに満ちている。目利きのプロたちは果たしてどんなものを選ぶのだろう。彼らが購入したものの紹介と、それぞれどこを見て、どんな基準で選んだのか、違う視点をもつ2店舗の座談会形式で、古物への偏愛をじっくり語っていただいた。


無造作に入れられた「がらくた」たち。この中にお宝が……?
開門直後の朝5時ごろには出店が始まる。「冬は暗いので、皆さん懐中電灯やヘッドライトをつけて探していますよ。」とのこと。恐るべし。

埋もれていた商品に目を光らせる。がらくた市は「このカオスさがいい」という。

 

〈買い付けに行った人〉

下西 幹さん
「うつわと古物 幹」店主。御所東にある店舗には、日本の現代作家をメインとしたやきものと、国内外のさまざまなアンティークが並ぶ。下西さんの確かな目利きや、こだわりの詰まったしつらえが、器や古物好きの間で話題を集める。
https://utsuwatokobutsu-kan.com/

櫻井仁紀さん・吉田卓史さん
学生時代に古道具屋「ものや」をオープン。現在は紫竹(しちく)に店を構え、古道具屋兼プロダクトデザインの事務所として活動を行う。いわゆる歴史的な価値をもった「骨董」ではなく、色や形、素材におもしろさを見出したセレクトに独自性が光る注目の存在。
https://www.instagram.com/shop_monoya

 

今回意外にも対面するのは初めてだったという3人。もちろんお互いの存在は知っていて、一度話してみたかったという。買い付け後、それぞれのセレクトを見て「こんなにも色が出るものなんですね。」「これってなんですか?」と興味津々。早速、その語りとともに見ていこう。

「うつわと古物 幹」下西さん:
好きなもの、欲しいものを買うだけ。「普通」なんです。

―買い付けお疲れ様でした!では、下西さんから購入したもののご紹介をお願いします。

「うつわと古物 幹」下西さんが選んだもの。

櫻井さん:これ(右奥)、枕ですか?

下西さん:いえ、入れものなんです。反っているのは蓋だけで、中身は四角の籠です。シンプルに花器にしたいと思って選びました。蓋をずらして、長い枝を横向きに入れて。編んだ籠とかツルのものはだいたい花器として使うことをイメージして購入しています。その隣の籠(左奥)は、たぶん日本のものだと思うんですけど、紐をつければ掛花入れにもなりますし、そのまま置いて使うこともできます。こういうのは使う人の発想でなんにでもできますから。個人的には、植物のものに植物を添えるとすごく合点がいくというか、納まりがいいなと思います。

―下西さんは、御深井焼(おふけやき)というやきものに思い入れがあるとか。

下西さん:最初に買った古いやきものが、江戸時代前期から後期の美濃焼のひとつである御深井焼でした。名前の由来は、名古屋城内の御深井丸(おふけまる)というところで焼かれたものに似ていたからで、灰に長石を加えた透明性のある釉薬が使われています。ある時何かで御深井焼を見て、可愛いなと思っていて。すると九州に住んでいるころ、蚤の市で偶然出合ったんですね。この地方のやきものって九州にはあまり出ないのに、「こんなところに、御深井焼が!」って。そこからやきものの魅力にハマっていったんです。

今回購入した御深井焼のひだ皿。

吉田さん:御深井焼のどういうところが魅力ですか?

下西さん:こういう灰釉(かいゆう・はいぐすり)のやきものは昔からあって、シンプルなんです。とりたててすごい特徴があるわけではないのですが、使い込む楽しさを感じられるやきものだなと。もちろん、いろんな形がつくられているんですよ。このように縁がひだ状の「ひだ皿」がいちばん庶民的でポピュラーなんですけど、飽きないんですよね。リーバイスの501みたいなスタンダードというか。

―このお皿のどんなところにひかれたんでしょう。

下西さん:だいぶかすれてはいますけど、「擦絵(すりえ)」といわれる絵が入っています。今でいうステンシルみたいな絵のつけ方。これが入っているタイプはあまり出てこないので、あったら欲しいなと思っていて。

―こういうやきものって、使っているシーンが浮かびますよね。

下西さん:日常に馴染みますよね。歴史的に見ると、桃山時代あたりにはアバンギャルドな器がいっぱいありましたけど、その後はカチッとしたものが流行って、使いやすくなっているんです。

吉田さん:幹さん(下西さん)は、もとから古道具関係の仕事をしていらっしゃったんですか。

下西さん:以前は福岡にあるヨーロッパのアンティーク家具屋で働いていました。普段は照明のメンテナンスがメインで、フランスとイギリスにたまに買い付けに行かせてもらったりもしていました。買い付けってだいたい朝の時間帯から昼過ぎには終わりますから、次の町に移動して、そこであちこち回っては個人的に欲しいものを買ったりしていたんです。

櫻井さん:それがスタートなんですね。

下西さん:その仕事を始める前から古いものは好きで、個人的に買ったりはしていました。古物商の許可証をとって、たまに市場に行ったりして。 

―これは、なんでしょう?

下西さん:馬鈴(ばれい)といって、馬の首にかける鈴です。用途には諸説あって、クマよけだとか、馬が来るのを知らせるためのものだとかいわれています。左のようなドーナツ型のものは、お茶道具として蓋置(ふたおき)にすることもあるし、底が丸いやきものを飾るための台として使うこともあります。馬鈴は古くからあって、古墳時代の青銅製のものなんかもあります。今回買ったものは幕末から明治くらいかな。中の状態も良くて、けっこうきれいに音が鳴りました。

―ほかの食器についても教えていただけますか。

下西さん:左の金属製のもの(上記写真中央左)は、オートミールなどのお粥を調理、または食べる時に使用する「ポーリンガー」という器だと思います。恐らく19世紀ごろのフランスのものかと。

―持ち手があるので使いやすそうです。片口の方(上記写真中央右)は?

下西さん:戦前の瀬戸焼きでしょうか。そんなに古いものではないですけど、形と雰囲気が良くて。

櫻井さん:これでお酒飲んだら美味しいだろうな。

―こういう市で、価値のついたいわゆる「お宝」って、見つかるものなんですか?

下西さん:ありますあります。「あれ、これってもしかして?」と思っていたら、「1000円でいいよ」って言われたりして。内心ドキドキしながら、しれっと「もう少しまけてもらえませんか。」と。

櫻井さん:めっちゃわかります!「あ、これは!」と思っても何食わぬ顔で「これ、いくらになります?」って。

下西さん:一般の方も含め、そういうものを求めて皆さん骨董市に通うんだと思いますよ。

―価値を知らないまま出品する業者さんもいるんでしょうか。

下西さん:たとえば閉店したお店の品を一式買いとってごっそり売る人もいれば、家を壊す時に出たものを丸ごと仕入れてそのまま売る人もいて。こういう人は、いちいちより分けて値段をつけるようなことをあんまりやらないんですよ。それぞれ得意な分野も違いますし。たとえば、やきものが得意な人が海外の雑貨をみても、よくわからなかったりする。

―下西さんの目利きのポイントを知りたいです。どんな基準で購入されるんでしょう。

下西さん:多少はお店のテイストを意識していると思うんですけど、基本的には自分が好きなものを買っているだけなんです。やきものはもちろん、僕は鉄のものも、籠なんかの植物性のものも好きです。たまには昭和のおもちゃ買ったり、海外のデザインものを買ったりもします。店に並べなくてもいいやと思って買うこともけっこうあります。そういう感覚は独立する前の、コレクターだった時とあんまり変わってないですね。

―お店では作家さんの作品も扱っていますよね。

下西さん:作家さんの作品を仕入れる時も同じです。20枚同じお皿があったら、一枚一枚見て、欲しい表情のものを選びます。骨董を仕入れるのと同じ感覚で、シンプルです。だからいつも、選び方は本当に「普通」。売ろうと思ってというより、基本は「自分が欲しいもの」を探します。

「ものや」櫻井さん、吉田さん:
古道具屋で、デザイナー。両立するのには理由がある。

「ものや」のおふたりが選んだもの。

―ものやさんのセレクトも見せてもらいましょう。

櫻井さん:たくさんあるんですけど(笑)。(左奥から)恐らく業務用のナプキンスタンド、置時計、謎のエビの燭台、不二家のノベルティのチューリップの置物、藁で編まれたバイカラーのキャップ、(左に戻って)謎のぐるぐるした器、大黒さんの貯金箱、コクヨのステープラー、(器の手前へ)アヒルのキャラクターのキーホルダー、KBS(近畿放送)の卓上ライター、スタンプケース、もうひとつキーホルダーと、ちょっとくぼみがついてたガラスのペン立て。

―なんだか気になるものがいっぱいです。

櫻井さん:何から話しましょうか(笑)。まず、大黒さんは最近集めているんです。プラスチック製のものが多いんですけど、これは金属。貯金箱なのにサイズが小さいのでお金はほとんど入りませんが、その「無意味」さがすごく良くて。

―こういうのって、もともとどこのものなんでしょう?

櫻井さん:大黒さんは、銀行のノベルティが多いと思います。裏に銀行名が書いてあったりするんですけど、これはなかったな。

―銀行が大黒さんをノベルティにするって、けっこうシュールですよね。

櫻井さん:僕たちはそういう「文脈」が好きで集めていますけど、そんなに売れないんですよね(笑)。「縁起物の貯金箱なのに、全然お金は入らない!」」っていう一種の矛盾があると思うんです。そこには見る人が意味とか面白さを見出すために主体的に考えられるような、隙間や余白のようなものがあると思います。それを楽しんでもらえたらいいな。

吉田さん:あと、ワンタッチスタンプケース。

吉田さん:これ、真ん中のボタンを押すと、手前の黒い部分がパカッと前に出てきて、そこが印鑑入れになってる。それと連動して上の丸い部分もパカッと開いて、朱肉が出てきて印鑑を押せるんです。

―過剰に凝ったギミックなような。

櫻井さん:印鑑って大切なものだから、ケースが牛革だったりする商品がある一方で、こういうものもあるんですよね。きっと当時の社会状況を受けた、機能的な要望があってつくられたんでしょう。でも僕らはそれより、「なんだこれやばい!」みたいな感覚を自分たちなりにもうちょっと真面目に追及してるんです。

下西さん:いや、真面目ですよね、大真面目。

―ものやさんの選ぶ基準、もう、お聞きするのも野暮な気もしますが……。

櫻井さん:幹さんと一緒で、「好きなもの」を買っているのは間違いありません。「これは売れるな、売れないな」ということだけではなく僕らの中にいくつかある、「おもしろいと感じる線」みたいなもののどれかに引っかかっているかどうか、ですかね。

―おもしろいと感じる線にはどんなものがあるんでしょう。

櫻井さん:僕らは大学でプロダクトデザインを勉強していたこともあって、たとえばさっきのスタンプケースみたいな「ギミック」は大好きです。それから「無駄」というか、意味を感じないもの。意味を感じないものっていっぱい種類があるんでしょうけど、その中でも僕たちがみて造形や色がおもしろいとか、文脈が外れているのがおもしろいとか、そんな感じでしょうか。

吉田さん:その場では決めきれなくても「気になるなぁ」と思ったらとりあえず買ってみたり。

櫻井さん:ふたりのあいだでも感覚は違いますしね。さっき幹さん(下西さん)がおっしゃっていた「使い方がみえる」ということでいうと、僕らの場合「使い方がほぼみえないから買う」ところもあります。「どうやって使うんだ?大丈夫か?まぁいけるか!」って買っちゃう。買って持ち帰った後に使い方や起源などを調べて、自分たちの中に取り込もうというスタンスです。

―この中で特に「推し」はありますか?

櫻井さん:このキャップ、ビニールコーティングされた藁なのかな?おもしろい素材でできていて。僕はずっと家具の勉強をしていたので、素材にすごく興味があるんです。一般的に使われているのと違う素材だとコレクションの観点で欲しくなりますね。

藁のような形状のビニール素材で編んだキャップ。

―ものやさんのもの選びの基準には、いわゆる「小学生男子」的というか、純粋なものへの感動を感じます(笑)。

櫻井さん:古道具好きには「好奇心溢れる男の子」みたいな人、多いように感じます。それくらいの年ごろって、何を見ても「これ、中はどうなってるんだろう!?」みたいな感じですよね。その延長でギミック大好きとか。僕らはまだそれをやってるだけというか、デザインの仕事で何かを設計する時、普段から蓄積している「なんだこれ?」が発想のきっかけになることって多いんです。このキャップも、素材が面白いなと思っているから、例えばホームセンターで似たような素材を見たら、「これ、あのキャップの素材と似ているな。ひょっとしてこの素材でも帽子がつくれるんじゃないか」という発想ができたりするわけです。

吉田さん:僕たちはデザイン事務所もやっているので、まさにこういうことが「ネタ」につながっていくんですよね。

―素材の話はまさにプロダクトデザインの仕事に直結しますし、逆にデザインの仕事はものを選ぶ目を肥やすことにつながっていて。ふたつの仕事が繋がっているんですね。

櫻井さん:だからこそ、古道具屋とデザイン事務所を一緒にやりたかった。学生のころ、先生が「デザイナーはインプットが大事」と話していて。古道具屋なら買うことも、それを売ることも仕事だから、「古道具屋兼デザイン事務所なら、インプットとアウトプット両方できる!」って。最近になってやっと、このサイクルをどうやって回すかをより真剣に考えないと、と思うようになりました。

シンプルな構造でつくられたナプキンスタンド。

―こちらはとてもシンプルです。

吉田さん:このナプキンスタンドは恐らく業務用だと思うんですけど、かっこいい。こうやって見ると、レストランとかで実際に使われている時には見えない形が見られるなと。自分たちが「かっこいい」って評価できて、さらに何に使うかもいろいろ考えられると思いました。写真や本を立ててもいい。「余白」があるものが好きです。

下西さん:大量につくられたからこそ、最初にすごく考えてデザインされているのかもしれませんね。

2本足に文字盤の部分が「顔」。なんだか生き物っぽい時計。

吉田さん:セイコーの時計です。何かの会社のロゴが入っているので、どこかのノベルティかもしれません。

下西さん:しゃれてますね。

吉田さん:昔のナショナルとかも好きなんですけど、昭和レトロとはまた違う、いいデザインが日本にもあるなぁと思って。こういうのはしっかり掘り起こしたいと思っています。

櫻井さん:形がもう……理解できないというか。どういう理由でこの形になったかが見えないというか。ちょっと生き物っぽいところもあって。

―足、ついていますもんね。

櫻井さん:そうやって、これを「足だ」と認識できることにまず興味があるんです。下の部分が埋まっていると誰も足だと思わないのに、ここがえぐれてると足に見える。あと、おもしろいことに、足が3本あると安定するので、3本足の製品はいろいろあるんですが、基本的に3本足の生き物はいません。なのに僕らは足が3本あると「生き物っぽいね」と表現してしまう。こういう「ものだからできる表現」に面白さを感じるんです。

吉田さん:こういうのは買った後で考えることなんですけどね。「まぁ買ってみるか」と思ってまずは買う。

下西さん:たぶん、ものやさんと、従来の古道具屋がやっていることは一緒だと思います。きっと「見立て」とか、それと同じ感覚ですよね。ものやさんって、今の日本人が思う「ザ・骨董」「ザ・古美術」のイメージとは違うのかもしれないですけど、ちゃんと独自のフィルターをもっている。時代ごとに感覚もニーズも違います。育ってきた時代や見てきたものによって変わるほうが正しいと思うので、違うものを選ぶほうが絶対おもしろいし、楽しい。
さっき話した出品業者さんとかは、自分のフィルターなしでごそっと売っているんですけど、それは本当の「がらくた屋」。選んでないんですよね。ものやさんにはちゃんと自分の物差しがある。それがあるかどうかですよね、お店って。今回選ばれたものは、一見みんなばらばらなようで、彼らのフィルターをちゃんと通っている。逆に僕は統一感を感じるんですよ。

櫻井さん:幹さん(下西さん)にそう言ってもらえるなんて、めっちゃ嬉しいです!!

憧れのデザイナーの作品とまさかの遭遇

―忘れられない買い付けの体験ってありますか。

吉田さん:エットレ・ソットサスっていう、僕らのアイドルみたいなイタリアのデザイナーがいるんです。80年代前半にメンフィスっていうデザイン集団を率いた人なんですけど、つくるものは色がきれいで、楽しくて。ものづくりが機能主義に傾いていた時代で、デザインのもっと楽しい部分を押し出していった人です。この人のデザインアイテムは今、むちゃくちゃ高いんですけど。

櫻井さん:奈良のとある場所に買い付けにいったら、きたないコンテナと大量のごみが置いてあって、段ボールに入った鍋なんかが山積みになっていました。誰もいないので、書いてあった番号に電話したら、すぐ近くからスウェットのおばちゃんがやってきて。いろいろ見ていたら、吉田が急に「は!!」って。

吉田さん:そのへんに積んである料理用ボウルの底に、ソットサスの名前があったんです。

櫻井さん:一見、ごく普通のボウル。よく目に留まったなと思います。あとで調べても情報がまったく無かったんですが、どうもソットサスが初期に日本のメーカーのためにつくっていたみたいです。全部で7個ありました。で、例のごとく何食わぬ顔で「これいくらですか」。倉庫を出てからふたりでガッツポーズですよ。


こちらが伝説のボウル。「家宝にする」と櫻井さん。(写真提供:ものや)

骨董や古道具を選ぶ、自分基準の物差し

櫻井さん:けっこうありがちなのが、「ええやん!」と思って仕入れたものが、調べたら100均の商品だったっていう(笑)。

下西さん:今の100均のクオリティ、すごいですよね。

櫻井さん:「これ、有名なデザイナーの作品」って言われたら納得しそうなもの、けっこうありますよ。

下西さん:僕ら骨董屋は「利休が今生きていたら」みたいなことをよく考えます。今の世の中なら、利休はどんなものに目を向けるのかなと。

―100均の商品だけで、「利休が選んだかもしれない見立てお茶会」とか、あったら面白そうです。

下西さん:それいいですね。実際、スパッと伐っただけの竹の花入れとか、そういうものを拾ってやっていたわけですから。

―こうしてお話を聞いていると、皆さんの活動は「男子自由形」という言葉がしっくりきますね。

下西さん:「男子自由形」……たしかに!

吉田さん:種目も多いし。

下西さん:古いものや骨董はよく分からない、という人が多いのは、はっきりした自分の物差しがないだけなんだと思います。洋服や料理はそれまで自分で選んできているから基準があるけど、古いものとか、やきものとか、蓄積がないものは怖いと感じるんでしょう。

吉田さん:おもしろいと思うポイントってすごくたくさんあって、自分がおもしろいと思ったら、もうそれでいいはずなんです。

下西さん:そういう物差しを皆がもったら、もっと楽しくなるような気がします。

 

東寺がらくた市
毎月第1日曜日に東寺境内で開催
※ 最新情報は以下より要確認
http://www.touji-ennichi.com/

 

企画編集(敬称略):光川貴浩、河井冬穂、早志祐美(合同会社バンクトゥ)
企画協力(敬称略):岩澤亜希
撮影(敬称略):牛久保賢二
写真提供(敬称略):櫻井仁紀、吉田卓史