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ポテルマンの噂

「たった5分」のために訪れたいバーが清水寺近くにあるらしい

ポテルスタッフ

噂の広まり

お祭り騒ぎ

「ポテルマンの噂」と名付けた連載コーナーでは、ポテルスタッフたちから皆さまに、京都の街にまつわる情報をお伝えします。

第4回に登場するのはポテルのサービス向上のため、ちまたで話題のホテルにリサーチに訪れたという彼。すごいとは聞いていたが不覚にも感動してしまった、と語るそのわけとは?

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ポテルのCAFEに常駐している中島と申します。趣味というほどではないですが、より良いサービスを勉強するためにも、常日頃から京都で噂のスポットには実際に行ってみるようにしています。毎日淹れるコーヒーと同じぐらい、お酒が好きだからというのもありますが……(笑)。

そんなわけで先日も、京都で話題のあのホテルのバーに行ってみました。そこで、なんとも印象的な「5分間」を体験し「やられた〜」と嫉妬してしまったんです。正直ほかのホテルのバーを紹介しても良いのもか、と葛藤しましたが……。リアルな情報を!ということで、みなさまにお伝えしたいと思います。

訪れたお店の名は「Roof Top Bar K36」。

K36

かつて小学校だった建物を改装したホテル、その屋上に位置するバーです。こちらはビジターOKのバーですので、宿泊していない方も入ることができます。着いてまず目に飛び込んでくるのが、360°見渡すかぎりに広がる京都の絶景!目の前に法観寺八坂の塔を見据え、東山三十六峰、京都五山に京都タワーまで……。パノラマに広がる圧巻の景色に思わず「お〜!」と唸ってしまいます。そして、まるで外国に来たかのような雰囲気のメインカウンターに座れば、お酒を飲む前からクラっと酔ってしまいそうな気持ちに。

このバーを監修するのは、京都を代表するバーテンダーの西田 稔さん。西田さんはこれまでK6やBar Kellerなど、京都の名門バーを手がけてきたお方です。そんな西田さんがこちらで作るのは、昔ながらのスタンダードカクテル。一般的によく知られるクラシックなカクテルだからこそ、こまやかな技術が光ります。花に花言葉があるように、カクテルにもそれぞれメッセージがあるそうで、メニュー表に一つひとつ書かれたコピーを読むのも一興。たとえばジントニックには「いつも奇跡を捨てないあなたへ」、モスコミュールには「ケンカしたらその日のうちに仲直り」など。その日の気分で選んでみたり、カクテルで一緒にいる人にさりげなく気持ちを伝えてみたりなんてのも、ロマンチックだな〜と妄想してしまいました。

私はおすすめされた「K36ジントニック」をいただきました。このカクテル、テーブルに運ばれてきた時のインパクトにびっくり!まあるいグラスにトニックウォーターが逆さまに刺さっているんです。まずはその状態で写真を撮って、そのに店員さんにボトルをゆっくりと抜いてもらい、いただきます。そして店員さんから「ライムのあるほうから飲んでください」とのお声が。ライムの香りがスッと鼻から抜けてくところまでを考えているそうです。こういうエンタメ性も楽しいですよね。

ジントニック

ここで!とっておきの時間をぜひ味わってほしいとお店の方に教えていただいたのが、“毎日5分だけのショータイム”というもの。日によって変わりますが、この時期であればだいたい17時過ぎごろ、東山三十六峰に夕陽が沈んでいく姿が見られます。これがまさに息を呑む、格別に美しい光景で。至福のひと時だ……と浸っていたら、アッという間に夜の景色へさま変わり。大変貴重な5分間なのでした。八坂の塔に沈む夕陽をバックにK36ジントニックを写真に収めれば、インスタ映えしたのにな〜、と少し残念な気持ちになりつつ、あの絶景は生で目に焼き付けるのが一番だった気もします。

ホテル屋内にもバー、その名も「The Bar」がありますので、雨の日や屋内でしっぽり飲みたいときにはこちらへ。

The Bar

エントランスから続くシャンパンやワイン、ヴィンテージのウイスキーが並ぶ壮観な眺めがまたスゴイ!なかには山崎25年や、マッカラン25年周年記念ボトルなど、簡単には手に入らないボトルも。名だたるお酒のコレクションを眺めるだけでも、ありがたい気持ちになりました。

なかでも私がいちばん驚いたものが「グレンファークラス 50 ヴィンテージ 1954-2003」。しっかりした造りの木製の大きな箱に、50本のウイスキーがぎっしりと並んでおりました。1954年だなんて……単純に60年以上前のウイスキー!お値段はいち、じゅう、ひゃく、せん、まん…………気になる方はぜひ実物を見に行ってみてください(笑)。何度も数え直しましたが、見間違いじゃなかったな……。

思えばウイスキーというものは、技術を持った方々の手により25年の年月をかけられ、やっと製品になるというお酒。高価なものがあるのもうなずけますよね。ただ、お金があれば誰でも買えるわけではなく、取引するに値するだけの信頼と信用がないと手に入らないものも。そこは京都で名だたるバーを率いてきた西田さんの力によるものなのでしょう。

西田さんはしばらくの期間、毎日いらっしゃるそう。キリッと美しい所作の数々と、熟成されたおもてなしの精神を間近で見ることができ、ホテルマンとして気が引き締まる思いでした。

皆さんもぜひ一度、上質な時間を体験しに行ってみてくださいね。そして本音を言えば、そのあとの宿泊はポテルに来てくださると嬉しいです(笑)。

Roof Top Bar K36
京都市東山区清水2-204-2
京阪清水五条駅から1.2km


編集:平田由布子、光川貴浩(合同会社バンクトゥ)、河井冬穂(合同会社バンクトゥ)
イラスト:Suica