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「京都三大酒場を勝手に決める会議」が開催されたらしい【地元飲兵衛編】

「ポmagazine」編集部
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噂の広まり

お祭り騒ぎ

2年前の夏、ポmagazineで公開した「京都三大酒場記事」をご存じでしょうか?

「京都三大酒場を勝手に決める会議」が開催されたらしい【有識者編】

酒場をこよなく愛する有識者たちに、京都の「三大酒場」だと思うお店を選んでいただいた記事が公開されたのは2022年6月のこと。その2年越しの続編にあたるのが、今回の【地元飲兵衛編】です。有識者のご意見を肴に、地元飲兵衛による「京都三大酒場を勝手に決める会議」を開催。日頃、飲み歩いている地元飲兵衛たちは、前編の内容をどのように受け止めたのか。会議場として選ばれたのは、四条大宮の居酒屋「ふる里」の小上がり。とりあえず一杯目のビール片手に、会議がはじまりました。

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会議場となった「ふる里」。ゴールデンボンバー、ピンクボンバーなどの“ばくだん”が名物。

このメンツで会議しました(飲みました)。

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・髙橋愛
祇園の会員制スナック「ぎをんせくめと」のママ。この日は祇園祭柄の単衣に、束髪の上には菊水鉾というヘアスタイル。仕事柄お客さんと飲むことも多いため、祇園をホームにしつつ市内全域の酒場に詳しい。

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・榊原充大
建築家/リサーチャー。大宮・西院など西寄りの酒場や角打ちなどの渋酒場を重点的にカバー。リサーチャーらしく、酒場で出るものをすべて撮影する癖がある。

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・松倉早星
「SHKIAMI CONCON」に拠点をもつNue incの代表。飲食も含めた場づくりのプランニングも手がけることから、飲食業界との繋がりも。仕事の多くは「酒場でのつながりから」だそう。夕方になると、しれっと飲み出す。

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・ヒラヤマヤスコ(おかん)
酒、料理、旅、レシピ系の記事を得意とする編集兼ライター。お酒に合う旬のレシピを記録する「#四季と酒」、移動式酒場「スナックおかん」などの活動も。パートナーは日本酒大手メディアの編集長という酒一家。

「三大酒場」の定義ってなんだろう?

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前編記事では、酒場をこよなく愛する4名の有識者に、京都の「三大酒場」だと思うお店を選んでいただきました

榊原:前編記事のアンケート、それぞれ有識者のキャラクターがめちゃくちゃ出てますねぇ。

髙橋:あんまり馴染みのないお店もあります。

ーそうですね。そのなかで太田和彦さんは「[赤垣屋][神馬][たつみ]」のTHE・王道なラインをまっすぐ突いてくださっているなぁと。

ヒラヤマ:もはや京都検定に出てきそうな模範回答というか。ベストアンサーですよね。

松倉:いきなり、決まっちゃった感ある(笑)。

ー太田さんの著書を読めばわかりますけど、京都の酒場をむちゃくちゃ訪ねておられますよね。その上で、この3軒。推して知るべしということでしょうか。

松倉:全体でみても[たつみ]が3票、[赤垣屋]が2票。この2軒はやっぱり人気あるなぁ。

ー[赤垣屋]は次々にお客さんが来るので、並ばないと入れないことも多いですよね。

ヒラヤマ:たしか、小上がりなら予約ができるんですよ。だから、4人以上でスクラムを組んで行くっていう。

松倉:[赤垣屋]のような店はカウンターで飲みたくなる。全国にファンがいるんだろうねぇ。

榊原:名酒場の宿命ですね。いい酒場はたくさんあっても、何をもって「三大」を冠するにふさわしいかというと悩ましい。「三大酒場」の定義って何でしょうね。

ヒラヤマ:まずは「歴史が長いかどうか」ですかねぇ。

ーちなみに[赤垣屋]と[神馬]は1934年(昭和9年)創業。[たつみ]は1968年(昭和43年)だそうです。

榊原:『酒場の京都学』で加藤政洋さんが書かれていましたが、[たつみ]って元々は伏見の酒「万長」を専門に飲ませる酒場だったそう。奥の座席の方に酒蔵を模したつくりが残っているんですよね。それが居酒屋になって今の[たつみ]になったとか。たしか、銭湯だった時期もあるはず。

ヒラヤマ:入口がふたつあるのは、その名残だって聞いたことがある。

榊原:開業歴の長さはもちろん、それぞれの建物にも時間を重ねた趣きがありますねぇ。

ーいぶし銀のような深みがありますよね。それでいうと、ラズウェル細木さんは攻めた印象です。1888年(明治21年)創業といわれる[松川酒店]は古参中の古参ですが、比較すると[井倉木材][きたざと]はニューカマーという印象ですね。

髙橋:その2軒は「新・三大酒場」って感じのチョイスですよね。このをお店を入れてきたかぁ〜っていう驚きがあります。[井倉木材]は週イチぐらいで通ってますが、あの立地にも関わらず、本当に人気ですよね。

松倉:[井倉木材]は最高の店。だけど、満員だった時はめちゃくちゃ悲惨だよね。近くにお店がほとんどないから。そこだけに賭けて行く価値のある一軒。

榊原:わかる(笑)。あの近くなら[寿海]もあるけど、やっぱ酒場が少ないんだよね。

ヒラヤマ:あとは[堀川鳥岩]に流れるっていう手もありますよ。けど、毎日やってるわけじゃないですしねぇ。

髙橋:[井倉木材]は東京の人にも名前が通っていますし。確実に行きたいなら開店直後を狙っていかないと。人気の鱧がすぐに売り切れちゃう……。

ーラズウェル細木さんは、鰻をテーマにした漫画『う』を連載していたぐらいの鰻ツウ。[井倉木材]の鰻を「専門店と比べても遜色のない」と語ってますね。

榊原:そうそう。有識者アンケートのおすすめメニュー、これも大切な視点ですよね。

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前編記事で聞いた、有識者それぞれのイチ押しメニュー

松倉:たしかにね〜。この店だったら、これ頼もうっていうメニューあるもん。秋ごろに[神馬]で出てくる汁がマジでうまいんだよなぁ。

ー土瓶蒸しのことですかね。京都酒場の秋冬といえば、自慢の出汁を味わえる土瓶蒸し。ドビニストにはたまらないです(笑)。

そもそも「酒場」と「料理屋」って何が違う?

榊原:いい酒場って何だろうなぁと考えてたんですけど、そもそも「酒場」と「料理屋」の違いから考えてみませんか?

ー[きたざと]なんかは、まさに祇園の料理屋って感じもあり、人によっては割烹や小料理屋というカテゴリーになりそうですもんね。

ヒラヤマ:酒場を酒場たらしめるもの。なんだろう。価格帯かな? 良い意味での雑然さ?

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「そもそも酒場ってなんだろうか?」と問い直す人たち。

松倉:[神馬]なんかは、外観は入りにくそうな感じもあるけど、店内はいい意味で雑然としてるよね。だから、落ち着くんだけど(笑)。

榊原:酒飲むために肴があるか、メシ食べるために酒があるかの違いかな。事前アンケートで票の多かった[たつみ]は、そんな雰囲気がめっちゃする。

髙橋:たしかに……!「[たつみ]といえばコレを食べないと」っていう、分かりやすい看板メニューがない気がする。それが、みんなから愛される理由なんでしょうけど。

松倉:短冊で壁が見えないほどメニューがあるのに、ぜんぶ酒のアテだもんね。

ヒラヤマ:「コレを食べろ!」っていう押し付けがましさがなく、ただただ酒を飲ませる。[たつみ]は酒飲みの欲の凝縮体なのでは?

榊原:もはや、概念(笑)。

ヒラヤマ:そのうえ[たつみ]は裏寺という立地の良さもあって幅広い世代から愛されてる。

ーそうそう。泡☆盛子さんも書いてるけど、10年前ぐらいの[たつみ]の立ち飲みゾーンなんて、20代では入れなかったですよ。

榊原:立ち飲みカウンターは常連のおじさんたちの聖域。

松倉:今は若い人も多いよね。20代のカップルがおじさんのあいだで飲んでるのもよく見かける。

ヒラヤマ:裏寺という、まさに歓楽街の裏町だった頃の雰囲気はもはやないですよね。古着屋の[WEGO]の建物はもともとピンク映画の「京都八千代館」だし。女性でも気軽に行きやすいエリアになってます。

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盛り上がる会議場に届いた「わかさぎの天ぷら」。夏のキンキンのビールに合う。

サラリーマンが憩う京都駅前の「穴場感」

ー酒場はエリアも重要ですよね。裏寺の[たつみ]然り、その町のカラーを背負ってる感じもします。

榊原:パリッコさんの[ひょうたん]なんてまさに、京都駅エリアらしいというか。

ヒラヤマ:わかるー!

髙橋:[ひょうたん]!私、行ったことないんです。

ヒラヤマ:京都ヨドバシのすぐ近くで、昼飲みができる店ですね。

ー[ひょうたん]は、ステレオタイプな「京都感」がないですよね。アテも300円ぐらいからあって、大阪にありそうな王道の「せんべろの店」という感じ。

ヒラヤマ:誤解を恐れずに言うと、労働者の愛する酒場ですよね。背広を着たサラリーマンのおじさんたちが異常にカッコよく映る店。

榊原:その近くに[森帳酒店]もありますよね。サラリーマン御用達の角打ちです。

ー京都駅エリアだと[二升五合(ますますはんじょう)]も数少ない渋酒場じゃないでしょうか。

松倉:ますますはんじょう?

榊原:そうそう。「二升五合」と書いて「ますますはんじょう」って読む。酒場らしい洒落が効いてますよね。

髙橋:京都駅まわりの有名なところで、女子が入れないお店ありませんでしたっけ?

ヒラヤマ:煮込み鍋の底をすくった「サルベージ」という強烈な名物があるとこですね。

松倉:え……? 女子が入れないお店なんて、この21世紀の日本にあるの?

榊原:昔の神事じゃん(笑)。

一同:爆笑

ヒラヤマ:10年くらい前にひとりで飲みに行ったことがあるんです。でもその数年後、友達が職場の人と行ったら断られちゃったみたい。ただ、Googleの口コミを見ても「妻と行きました」みたいなレビューがあるので今は違うんじゃないですかね?

ー「忙しい時は常連さん優先」という説もあるみたいですね。「長居ができない会員制の店」という張り紙も入口に貼ってあったし、いわゆる京都の「一見さんお断りシステム」の亜種というか。

ヒラヤマ:常連さんを大切にする姿勢から「女人禁制」という噂が生まれたのかも。京都の酒場、おそるべしですね。

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練りわさびの下にきゅうり。祇園祭の期間(7月)は、京都人はきゅうりを食べないらしいが、皿には使うのか…。

「三大立ち飲み」と「三大会館」はどうだ

榊原:[ひょうたん]や[森帳酒店]は、立ち飲みや角打ちといったカテゴリーにも入るじゃないですか。「三大酒場」じゃないけど「三大立ち飲み」だったら間違いなくここっていう店ありますよね。大宮の[立ち呑み 庶民]とか、ラズウェルさんの選んでる[松川酒店]とか。

松倉:きた、「庶民」!!

ヒラヤマ:今日挙げられてる店はどれも人気店ですけど、物理的な意味で本当に入れなくなるっていう意味では「庶民」が筆頭ですね。コスパのいい大宮・西院界隈の酒場でも断トツというか。

ーアテが100円台から、中瓶が300円ですよね。立ち飲みなら[髙田酒店]も渋いです。暖簾も看板もない角打ちというか。

榊原:集まって飲むことが難しいという最近の情勢を受けて、角打ちを自粛してる店もあるみたいです。[國田屋酒店]もしばらく普通の酒屋さんに戻るらしい。

ヒラヤマ:酒場の魅力って、ある種の「密」にありましたからねぇ。飲兵衛には厳しい。

榊原:「三大立ち飲み」のくくりがあるなら、「三大会館」の話もしたいですよね。

一同:あ〜〜!

髙橋:西院の「折鶴会館」、富小路四条の「四富会館」、あとどこだろう……。

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外装をリニューアルする前の「折鶴会館」。2014年7月頃。(写真:石本正人)

ヒラヤマ:「リド飲食街」とか?

松倉:ああ、リド飲食街か。近くに別の会館がなかったっけ? 火事になって、残念ながら燃えちゃったところ。

ヒラヤマ:「京洛飲食街」ですね。

松倉:懐かしいなぁ。めちゃくちゃ入りにくい雰囲気あったよね。リド飲食街のほうがまだ入りやすかった。

榊原:会館建築はその大半が二階建て以上で、ワンフロアに複数の店舗が細かく入っているというのが特徴。戦後に急増した建物の活用事例のようですね。戦争未亡人の方が商いをはじめるのに都合がよかったんじゃないでしょうか。

松倉:だから、お店が一つひとつ小さいんだ。めっちゃ勉強になるじゃん。

榊原:そういう意味では「折鶴会館」や「リド飲食街」は会館建築としては珍しい。

ヒラヤマ:たしかに、一階建てですもんね。四条大宮の「新宿会館」や西木屋町の「たかせ会館」、木屋町松原の「美松会館」あたりは、まさに今の定義に入ってきそうですね。

ーどの会館も、京都の人気店を有する名会館ですね。2020年には西院に「西院会館」、2021年には祇園に「どんぐり会館」と、ニューフェイスのオープンも続いています。

松倉:個人的に、思い出深いのは千本丸太町の「千本ロイヤル会館」。地蔵盆の日に、地域のおじさんに連れて行かれて、めちゃくちゃ飲まされた記憶がある……。

ヒラヤマ:おじさんたちをやさしい気持ちにしてくれる空間、それが会館。

ーそういえば、髙橋さんの[ぎをんせくめと]も会館じゃないですか?

髙橋:そうですそうです! うちは「ユニバース会館」です。1階に居酒屋が5〜6軒入ってて、2階から上はバーとかスナックが入ってます。

ヒラヤマ:[ぎをんせくめと]は、京都ローカルだけではなく、東京からも人気ですよね。

松倉:店ができてまもなく、京都のおもろいヤツがみんな行ってたもん。めぐちゃんの人徳だよね。

榊原:会館のスナックになってくると、メシでも酒でもなく、ママとの会話やカラオケが重要な要素になってくる。

ー立ち飲みや会館は、酒場の定義を揺さぶってきますねぇ。「京都三大立ち飲み」と「京都三大会館」は、改めて記事にしましょう。

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ダマスイカを半分も使った「すいかチューハイ」が登場。ふる里のチューハイについては、スズキナオさんがこちらの記事で詳しくまとめている。

「ポスト三大酒場」「ネオ三大酒場」

ーさてさて、シメの時間が近づいてきました。次のお題にいきますが、次世代を担う「ポスト三大酒場」になりそうなお店ってどこでしょう?

ヒラヤマ:だったら、泡☆盛子さんが挙げてる[きみや]じゃないですか?

一同:確かに……!

髙橋:いいお店ですよね! 前に友達と行ったけど、開店5分で満席になってました。

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西木屋町の「きみや」。2014年7月頃。(写真:石本正人)

松倉:タイミング逃すと全然入れないよね。

榊原:[きみや]は、もう店先から覗いて、席が空いてたら入るくらいの心持ち。あの「コの字型」のカウンターがまたいい。

ー本当に何食べてもおいしいですよね。しかも全部がきっちり酒のアテになってる。[きみや]以外にありますか?

髙橋:さきほど「新・三大酒場」として挙げた[井倉木材]推しですね。

ヒラヤマ:今日集まっている[ふる里]も入ってくるかな。

榊原:いやあ、今日はなんとなく、ここが会場になるんじゃないかと思ってました。誰を誘っても外さない安心感がある。

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安心感のある「ふる里」。三大酒場を語るにふさわしい会場だ。

ヒラヤマ:ただ、赤提灯系の渋ちん酒場だけが京都の街の酒場かと言われると、それも違う気がするんですよね。街のカルチャーをつくる酒場もまた語られるべきというか。たとえば、京都を発信源として全国に「サワーブーム」を巻き起こしたのは裏寺の[SOUR]なわけだし。

松倉:たしかに。姉妹店の[ソリレス]も人気だもんね。

高橋:[ソリレス]出身のヤンヤンさんがやっている[1.1]も勢いがあるかと。「せくめと」の隣に昨年オープンしたお店ですね。

松倉:わー!知らなかった、気になる。[ソリレス][sour]の系列だと、2店のオーナーがはじめた立ち食い蕎麦の[suba]も話題だね。ここもこれまでのお店と同様に空間がとてもスタイリッシュ。

榊原:渋酒場ではないけど、街の飲兵衛が足繁く通う店はたしかにあるよね。修学院の「ba hütte.」は、おしゃれな店内に酒好きが集まっていて楽しい。

松倉:あとは[鉄板とお酒 宗や]とか。それと[おおはし][枡][京子]はルーティーンの一部と化すくらいには通ってる。

高橋:「四富会館」に入っている[日常]は?

ヒラヤマ:たしかに[日常]は外せない!あとは祇園にある燻製料理の[IZAKAYA RUTUBO]とか。

榊原:[IZAKAYA RUTUBO]、よく行く!

高橋:[IZAKAYA RUTUBO]のオーナーがはじめた立ち飲み屋[RUTUBO燻製工場]も好評みたいです。

ー今あがったお店は、若い世代のお客さんも多いですよね。でも[赤垣屋]や[神馬]的な、いわゆる名酒場と地続きかというと……ちょっと違う感じもします。

ヒラヤマ:そういう店が、30年、50年続いたら、あの貫禄になっていくのかも。

松倉:「ポスト三大酒場」が[きみや]らへんなら、[おおはし]や[日常]らへんは「ネオ三大酒場」かもね。

榊原:ネオか〜、未来感あるなぁ(笑)。

ヒラヤマ:さっきちらっと話題に上った「どんぐり会館」は、まさに「ネオ酒場」系のお店が集まった「ネオ会館」ですよね。

榊原:「どんぐり会館」、俺も気になってるけどまだ行けてないんだよな〜。

ヒラヤマ:そうそう!あそこの打線なかなかですよね。私は[シロトクロ]ばっかり行っちゃってるんですが、全店舗制覇したい。

高橋:人気店の姉妹店が結集してますよね。人気韓国料理店の姉妹店[カンナム食堂]、[ブドウヤ姉妹店]の[フジサンBDY]、[イルラーゴ]の姉妹店の[シロトクロ]、[ちゃぶや]の姉妹店の[MURO]と…相当、強力なプレイヤーが集まっている印象。

松倉:1階の[夷川ぎょうざなかじま どんぐり店]には[サウナのぎょうざ湯]としてサウナが併設されてるよね。いつも予約でいっぱいだとか。

ヒラヤマ:そのあたりも含めて「ネオ」感ありますね〜!一つひとつが小バコだから、次のステップを考えているお店がチャレンジしやすい場所になっているのかも。会館のあり方としてなかなか考え抜かれているなと思います。

いつかつくりたい「京都酒場年表」

ー今、ポストやネオと言ってる酒場が、いつか誰もが認める「三大酒場」になると想像すると感慨深いですね。かつて京阪三条の[伏見]や木屋町三条の[よしみ]があったように。閉店した酒場も含め、地層のように連綿と続いていくと……。

ヒラヤマ:屋台時代の[せせり]も、タイムマシンでもう一度飲みに行きたい店だなぁ。吉田山の麓の鳥居前にブルーシートの屋台がある、あのロケーションが最高だった。

一同:あ〜〜〜!

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飲兵衛たちの想いは熱く、閉店した店や移転した酒場に話が及ぶ。

榊原:今は「イオンモールKYOTO」の南側あたりにお店を構えられたんですよね。

松倉:[せせり]って名前は、[TRAVELING COFFEE]の牧野広志さんが名付けたんだよね。そもそもお店に名前がなくて「せせりの焼き鳥がおいしいから」って理由で。

榊原:席予約するために電話したら「はい、屋台です!」って言ってたもんね(笑)。

ヒラヤマ:店名が固有名詞じゃなく、普通名詞なのはヤバい(笑)。

松倉:まだ残ってたら三大酒場だったお店かぁ。俺のなかではやっぱり[屋台いなば]なんだよね。

ー因幡薬師(平等寺)の門前にあった、あれも屋台ですよね。店主の方が亡くなられてしまったということなんですが、最近、息子さんによって復活を遂げたとのニュースが京都を駆け巡りました。

榊原:あそこはよかった……。

ヒラヤマ:前店主の二郎さん時代に行ったことがあります。コールタールみたいに真っ黒な、ツユの染みたおでんが最高なんですよね。今の「いなば」も気になる。

松倉:人間が老いるみたいに、酒場も永遠じゃないからなぁ。こういう話をしないと、どんどん忘れていっちゃうよね。

ヒラヤマ:「三大酒場」の定義も時代によって変わりそう。コロナ禍を経た今では、もはや開けててくれるだけでありがたい。おばちゃんがひとりでやってる店なんかはとくに。

榊原:もはや存在していることが価値。

髙橋:それぞれの酒場がいつ開店して、いつ閉まったのか、京都酒場の年表を編纂してほしい!

一同:うわーー!!!

榊原:そんなのできたら、街のじじばばが泣いちゃうよお!

〆でも飲みたい木屋町の深夜食堂たち

(※これ以降は酔いもまわり、三大酒場談義を忘れて会話が雑になってきています)

ーいや〜、酒もだいぶ飲みましたね。まだまだ出ますねえ、京都の酒場が!

松倉:勉強になるね〜。なんかさ、三大酒場を考えた時に、別に「三大」ってわけじゃないけどいい酒場、お気に入りの酒場がかなり出てきて。

榊原:うんうん。

松倉:もう2年前になるけど、お好み焼きの[まいど]が閉まっちゃったのは残念だったなあ。路地裏のラーメン屋の[G麺]とか、木屋町で飲んだら最後はここみたいな店あるよね。酒場じゃないけど飲んじゃう店。

ー[夢や]もそうかも。木屋町の深夜食堂ですよね。

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会議が〆メシの話に脱線したころ、ちょうど〆のお好み焼きが届いた。

髙橋:木屋町には、飲食店や酒場で働いてる人が仕事終わりに飲むお店も多いですよね。

ヒラヤマ:西木屋町の[KAO]とか、13番路地の[石丸商店]とか。

髙橋:[KAO]!ここも復活のニュースを聞いた時はうれしかったな。私は[大豊ラーメン]でよく〆ますね。

ヒラヤマ:大豊、おいしいけどちょっと味濃くないですか?

髙橋:そう、だから私はいつも注文する時に醤油ダレ半分にしてるの!

一同:爆笑

松倉:マジで!?

榊原:そんな裏技あったの!?

髙橋:醤油半分にしてもらって、あとお酢を足してる。

ヒラヤマ:スタバの注文方法やん! ライトシロップのカスタマイズやん(笑)!

ー今日イチ有益な情報が出たかもしれない(笑)。

榊原:大豊はスタバだったのか……。

「あれ知ってる?」の応酬戦! 街に愛される酒場が続々

ー木屋町で思い出したんですが[れんこんや]なんかもいいですよね。1950年(昭和25年)創業と聞いたことがあります。建物にも味がありますよ。

榊原:女将さんがいて、気の利いたおばんざいが出てくるっていう意味では、新町四条の[太郎屋]や西大路三条の[わらじ亭]にも、似たような安心感を感じますね。

ヒラヤマ:[わらじ亭]は、太秦が近いから役者さんとかもけっこう来られるんですよね。

榊原:役者さんに人気で思い出したけど、五条壬生川の[たこ松]なんかもいいよね。

髙橋:(スマホの画像検索を見ながら)うわ〜! これは渋い!

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知らない店の情報が議題にあがると酔いが覚める人たち。

ー有名なのは冬場のおでんなんですけど、ここの大根はぜんぶ聖護院大根らしいです。聖護院大根が入荷できないと、おでんが始まらないんですよ。だから、おでん解禁の日は年によって異なる。

榊原:ガスコンロじゃなくて、昔ながらの豆炭なのもいいですよね。カウンターが立派な一枚板で、それもいい。

髙橋:おでんだと祇園の[蛸長]によく行きますね。

松倉:うまいよね。

ー祇園と聞いて、運良く思い出しました。[山口大亭]もマイ三大酒場のひとつです。西店と東店で若干メニューが違うんですよ。西店は築100年以上の年季が入った建物で雰囲気があります。

ヒラヤマ:祇園なのに価格もリーズナブルなのがいいですよね。

ーいや、まだ何か大切な店を思い出せていない気がする……。

ヒラヤマ:六波羅の[櫻バー]じゃない?

ーそれだ!! 太田和彦さんも絶賛していたと思いますが、[櫻バー]はうますぎるにもほどがあります。太田さんいわく、家族経営で、 さらにお店の上を住居とされている居酒屋は、高い確率で信用できるらしいです。

松倉:家庭的な酒場といえば、千本丸太町を北に一筋入ったところの[だるま]がすげーよかった。母娘3代でやってるんだけど、そのアットホームさに対して[神馬]に匹敵するぐらいの歴史があるとか。

榊原:いかにも京都っぽいエピソード。

ヒラヤマ:ネットにも出てこないような店がしれっとあるのも京都ですよね。こないだ七本松松原を少し東に入ったところにある[おか木]っていう店に行ったんですが、検索してもぜんぜん出てこない。けど、よかった〜。突き出しが鮎の山椒煮でグッときました。

ー突き出しがいい店は、期待感があがりますよね。いや〜、知らないお店がまだまだあるなぁ。三大酒場を語るには、まだまだリサーチ不足なのかもしれない……。

松倉:いま以上に飲むか〜。

ヒラヤマ:一旦、今日はこんなところにしておきましょうか。みなさんどうもありがとうございました!

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京都も夏本番です。喉が渇きますね〜。

会議の結論

さて。会議の結論としては、結局、「三大酒場」決定とはならず。名店が多過ぎたか、それとも酔いがまわり過ぎて話が逸れたのか……。

しかし、日本にこれほど楽しい“決められない会議”があるのでしょうか。三大酒場を決めるという目的を置いても、いい酒場の情報を共有しあう時間が、ただただ楽しかったです。

「あの酒場が出ていない!」「俺の、私の、京都三大酒場はこれだ!」

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「#京都の噂」

〈ポmagazine編集部より〉
当メディアでは、通常の記事掲載においては掲載先への承諾(事前チェック)を経て記事を掲載しております。しかし、本記事においては、酒席における個人の主観や噂話を重視しており、あえて掲載店舗への確認を行わずに公開しております。掲載情報や内容の誤り・真偽について、万が一、間違い等がございましたら訂正に応じたいと考えております。(問い合わせ先:contact@potel.jp)

企画編集:光川貴浩、河井冬穂(合同会社バンクトゥ)
テキスト:ヒラヤマヤスコ
撮影協力:ふる里(四条大宮)

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