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左京区出身の知性派モデル・トラウデン直美。強すぎる京都愛がフォトブックでもダダ漏れらしい

「ポmagazine」編集部
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噂の広まり

お祭り騒ぎ

報道番組からバラエティまで幅広く活躍し、気品を感じさせる“神コメント”でも話題になったファッションモデル・トラウデン直美さん。テレビで時々出てくる関西弁に、あれ?と思った方もいるのでは。実は彼女、生粋の京都人。先日、自身初めてのフォトブックを京都で撮り下ろしたということで、地元ならではの京都ネタをご存知ないかとインタビューしました。京都愛溢れるトラウデンさんのローカルネタ満載です。

トラウデン直美さん
<プロフィール>
トラウデン直美
1999年京都市生まれ。ドイツ人の父と日本人の母を持ち、高校卒業までを京都で過ごす。「ミス・ティーン・ジャパン」2013年度大会でグランプリを受賞。13歳で小学館『CanCam』の史上最年少専属モデルとしてデビュー。現在は慶應義塾大学に在学。『CanCam』専属モデルを続けながら、数多くのテレビ番組にも出演中。1stフォトブック『のらりとらり。』を発売中。

金戒光明寺と吉田神社がホームグラウンドでした

ー テレビでご活躍されているのを見て、京都出身の方だと知りました。ブログを拝見したら「京都は、どんな都会よりどんな大自然よりどんな素敵な観光地よりも美しく世界で一番の街」との言葉が(笑)。熱い京都愛を感じました。

トラウデンさん:めっちゃ重いですよね(笑)。でも正直な私の本心です。素直に言ってるだけなのですが、いつのまにか京都について熱弁してしまうというか。自分が生まれ育った場所を好きなのは当たり前やし!と思っているだけなんです。

ー 正直、すごく親近感が湧きます(笑)。発売されたフォトブックを拝見して、全編京都で撮影されていることにも驚きました。ご自身の希望でオール京都ロケにされたそうですね?

トラウデンさん:初めてのフォトブックだったので、私の内面をすべてお見せしたいなと思って。知性派と言っていただくことが増えてとてもありがたいのですが、本当の私は、まだまだ未熟だったりマイペースだったりもしていて。そういう“素のトラウデン直美”が出るにはどうしたらいいやろう?って考えた時に、慣れ親しんだ京都で撮影してもらうのが一番なのではと。

ー 撮影地は、伏見稲荷大社から嵐電にあじき路地、錦湯と、京都人にとっては、“よう知ってる京都”が盛りだくさんですよね。

錦湯
木製ロッカーに並ぶ柳行李をはじめ、昔ながらの趣が残る銭湯・錦湯での一枚。

トラウデンさん:まさに私が京都にいたころ、生息していたような場所をめぐりました。お寺のような凛とした空間から、個性を突き詰めた喫茶店まで。あらためて京都の街が誇る“場の力”を実感しました。おかげでバラエティ豊かな内容になったと満足しています。

ー 京都のガイドブックとして見ても、おもしろい内容です。表紙の金戒光明寺は、虎と一緒の写真がかなりのインパクトで。 京都でもちょっとマニアックな場所かと思うのですが。

金戒光明寺
金戒光明寺、大方丈の「虎の間」にあるのは久保田金僊(くぼた・きんせん)による「虎の襖絵」。「この襖絵、ちょっとした仕掛けがあって、びっくりしました!」とトラウデンさん

トラウデンさん:くろ谷さん(金戒光明寺の通称)は小学生のころに、近所の遊び場としてよく行っていたんです。陸上部だったので、トレーニングと称して友達と階段を登り下りしたり、鬼ごっこをしたり。虎の襖絵の場所は普段非公開なので、今回初めて生で見ました。行き慣れたところの新しい一面が知れて、うれしかったですね。

ー 神社が遊び場というのは、京都人あるあるですかね。

トラウデンさん:そうですね。くろ谷さんと吉田神社はもう自分のテリトリーという感じ(笑)。吉田神社の節分祭にも毎年行っていました。家のまわりには町家や蔵のある家も残っていて、今思えばそれも京都らしい風景かな。ボールで遊んでいたら蔵の壁に当てちゃって、めちゃくちゃ怒られたり。懐かしい(笑)。

あじき路地
京都では消防車の通れない狭い路地が多いことから、家の玄関前に消化用の赤いバケツが置かれている。「京都だけの風習だと知らなくて。冬にはバケツの表面が円盤状の氷になるのですが、それでたくさん遊んだな」とのこと
近衛中学校
出身中学での撮影の際、教員をしている当時の同級生に遭遇する場面もあったとか

ー お話から、どのあたりにお住まいだったか分かってきました(笑)。中学、高校も京都なんですよね。

トラウデンさん:はい。写真集にも出てくる近衛中学校は本当に良い思い出がいっぱい。かなりのびのびとした校風で、私の自由な人格形成は中学校でされたと言っても良いくらい。高校は、京田辺の同志社国際高校だったので、京阪電車で片道2時間半かけて通っていました。

ー なかなか大変ですよね。

トラウデンさん:学校までの坂がほんまにきつくて、鍛えられました(笑)。あと、出町柳の駅前の志津屋で「ハイジのクリームパン」を買って行くのが当時のルーティーン。純喫茶めぐりにもハマっていたので、学校帰りにはソワレやフランソアにも通っていましたね。

喫茶ソワレ
純喫茶好きなら誰もが知る名店・喫茶ソワレ。トラウデンさん曰く「幻想的な雰囲気と、宝石みたいなゼリーポンチ、お店に来るたびにときめいていました。」
嵐電
嵐電では、なんと貸切で実際に電車を走らせての撮影を敢行したそう

京都を離れて、京都をもっと知りたくなりました

ー 今、京都で気になっている場所はありますか。

トラウデンさん:この前、紫竹にある洛叉庵(らくしゃあん)というわらび餅屋さんに行ったのですが、予約をしないと買えないことを知らなくて、泣く泣く食べられず……。次こそはリベンジしたいです。あとは母と、市内の七福神を祀った社寺をめぐる「都七福神めぐり」に行かなきゃと話しています。母とは寺社巡りやおいしいお店など、一緒に京都散策することが多いです。

ー ご家族では、元田中の中華料理屋・華祥が行きつけというのを拝見しました。

トラウデンさん:そうですね、街の中華という感じで大好きです。あんかけ焼きそばと、卵白あんかけチャーハンがお気に入りでした。家族で外食する時の定番はいくつかあります。北山にある浪漫亭という串焼き屋さんにもよく行きました。味はもちろん、見た目がレトロでおしゃれなのも楽しくて。烏丸にあるコムゴンっていうベトナム料理屋さんも大好き。生春巻きが絶品なんですよ。

ー 東京に行かれてからも、京都にはよく帰って来ているんですか?

トラウデンさん:今はコロナもあってなかなか難しいですが、東京に行ってはじめの1~2年は、毎月のように帰っていました(笑)。 京都を離れたからこそ行ってみたくなる場所もあって、関西でのお仕事の帰りにはここぞとばかりにいろいろ回ったり。

ー 東京に住みはじめて、京都の印象や見方は変わりましたか?

トラウデンさん:外に出て初めて、京都のことを自分はあんまり知らなかったんだと気付かされました。東京で“京都マニア”みたいな人って実はけっこういて、私より詳しかったりするんです。それだけ人を魅了する街なんだなと誇らしくも思うんですけど、自分は京都に暮らしていたのに、なんだかもったいないことをしていたなと感じて。だからこれからもっと京都を知って、発信できるようになりたいんです。

あとは、自然と触れ合う場所に行きたいという気持ちが強くなりました。鴨川はもちろん、京都に帰るとよく大文字山に登っています。

鴨川デルタ
地元の家族連れや観光客で賑わう人気スポット・鴨川デルタでの一枚

ー 京都は山や川などの自然が生活の中に溶け込んでいますよね。

トラウデンさん:東京で生活をしていると、そういう場所がなかなかなくて。大文字は京都が一望できるので、自分の生まれ育った場所を見て、ただのんびり過ごす時間が好きです。晴れていると大阪のあべのハルカスまで見えるんですよ。 

あとは小さいころから散歩に行って夕日を見ていた場所があって。家から10分ぐらいの場所なのですが、そこは昔からのお気に入りスポットです。フォトブックの撮影地にもなっていて、自分の育った場所を背景に、うまく感情をのせることができました。

夕日
ガイドブックにはない、まさに地元ならでの風景

今は伝統工芸品に興味津々。京都の職人さんにも取材したい

ー トラウデンさんは、13歳からファッション業界に身を置かれています。“京の着倒れ”という言葉もありますが、京都とファッションの関係ついてどのように思われますか?

トラウデンさん:京都の人って、昔からあるものをいかによく見せるかというプロモーション力が高いと思っていて。古いものを古臭く見せない、古さをブランドに変えるのが得意な街というか。着物はもちろん、古道具や建築物など、昔ながらのものに新しい風を取り入れていますよね。服飾産業では、環境負荷が高いことが問題になっていて。そういったサステナブルの文脈のなかで、京都から学ぶべきところは大きいのではと思っています。

ー モデル、コメンテーター、環境省のサスティナビリティ広報大使など、幅広い活躍をされていますが、今後の活動について教えてください。

トラウデンさん: 学ぶことで人生が豊かになると思っていて。今年の春に大学を卒業するので、また新しく興味のあることをどんどん掘り下げていきたいなと。最近は、伝統工芸品に興味があります。いろんな産地に出向くため、YouTubeで伝統工芸品を取材していくシリーズをやろうと企画中です。この前ちょうど第1回目の取材で、埼玉の日本刀をつくる職人さんへお話を聞きに行ったんです。

ー なるほど、伝統工芸品ということであれば、いつかは京都にも?

トラウデンさん:もちろんです!伝統工芸品への興味は、元々京都にいて触れる機会がたくさんあったからこそ。知識も経験もまだまだなので、たくさん勉強して、実際に目や耳で感じていきたいなと思っています。いつかは、京都の街を盛り上げる1人として、お役に立てたらうれしいです。

 

企画編集:光川貴浩、河井冬穂、早志祐美(合同会社バンクトゥ)
企画協力(敬称略):平田由布子
写真(敬称略):三瓶康友